グローバリズムと中国の台頭
はじめに
中国がGDP世界第2位となり、世界経済に大きな影響力を待つようになりました。
大きな要因としては、共産主義政治の中に資本主義経済を取り入れたことで、共産主義の統制経済が資本家の力を抑え込む役割となったことが大きいのではないかと考えています。
資本主義とは?
簡単に言えば企業に投資した資本家の資本を最大化することで、基本的に資本主義の考え方は、資本家が労働者から搾取することで経済が成り立ちます。
しかし、労働者に充分な賃金を支払わないと需要が減退し、企業が創出する商品やサービスは供給過多となり、利益が減少します。
この「神の見えざる手」と言われる需給関係の調整により、資本家への富の集中を防ぐ自浄作用が資本主義にはあるとされてきました。
グローバリズムの台頭
「神の見えざる手」により、自国内の労働者の賃金が高騰すると利潤を追求する企業は、工場などの単純作業は物価の安い国に低賃金労働者を求め進出していきます。
自国経済が発展し、自国民の生活水準が向上すると、企業は工場を海外に移し、自国内の産業の空洞化が起こり、自国内の労働者の仕事がなくなります。
グローバリズムにより、「神の見えざる手」は、発動せず資本家に富が集中するようになってきました。
民主主義国家では「小さな政府」を目指し、政府の力を最大限小さくすることを目指します。
政府に企業活動を制限することは出来ない為、産業の空洞化を止めることは難しく、国力が落ちていきました。
日本は世界で最も成功した社会主義と揶揄されてきましたが、「大きな政府」を維持しながら、上手く資本家の富を再分配しながら発展していきます。
現在は、グローバリズムの名の下に新自由主義経済に飲み込まれ、日本の悪い所と新自由主義の悪い所を併せたような政策が続いていますが、今が過渡期なのかもしれないですね。
世界の工場、中国
中国共産党に支配され、共産主義国として経済活動が低迷していた中国は10億人を超える人口と低賃金に魅力を感じた企業がこぞって中国進出をします。
しかし、中国に企業が進出する為には、厳しい条件がありました。
地元企業との合弁会社での進出となり、50%以上の株式を持つことは出来ません。
更に、企業秘密を中国に公開することも進出条件とされており、世界の工場として世界中から工場を誘致した中国の科学技術の発展と急激な経済成長に繋がっていきます。
中国の台頭
中国の経済成長により、中国人の賃金が上がった為、低賃金労働者を求め、工場が移設されるはずです。
しかし、企業が中国を離れるには、中国の工場へ導入した機材を全て置いていく必要がある為、設備投資を回収するまでは中国を離れることは難しい判断となったようです。
また、経済発展により生活水準が向上した中国の10億人市場は魅力的であり、企業は余計に中国を離れがたかったようですね。
資本主義を採用しながら、政治においては共産主義国のままである中国は、強い力を維持した政府が国営企業を税金で支え、他国の企業の知的財産権を無視する形で世界経済へ影響力を持つようになります。
米中合意の成果
膨張し続ける中国の影響力を無視できなくなったアメリカでは、共和党と民主党が手を握り、中国を抑え込む政策に転換します。
昨年、半年以上に渡り、米中関税合戦が続きましたが、他国の知的財産権を認め、アメリカの農産物を輸入するなど中国が膝を屈する形での合意となりました。
知的財産権を認めた中国では、海外企業にも50%以上の株式を持つことを認め、中国に進出した企業も株式の買取、新会社の設立などにより、企業の経営権を握ることになりました。
新型コロナウィルスの影響
新型コロナウィルスの影響で、中国経済がストップした経済的影響は、計り知れないですね。
韓国の自動車メーカーでは、中国の部品工場に頼りきっていた為、中国工場がストップすることで部品が供給出来ず、工場がストップしています。
国内にも部品工場を持つ日本の自動車メーカーでは、ほとんど影響を受けなかったようですが、日本国内のホテル、ハイヤーなどの観光産業は大打撃を受けています。
経済発展しても、不潔な環境でパンデミックを起こす中国に経済的に依存するリスクを世界中で認識した可能性がありますね。
今後の日本の対応
現在、日本ではグローバリズムに対応する為、日本人の給与を抑え込み、相対的に貧困化を進めることで輸出企業の後押しをする政策を取っています。
しかし、今回の事件で他国に依存する経済の危うさに国も企業も気付いたはずです。
まだまだ、1億人を超える内需を持つ日本では消費税の減税、労働者への富の再分配を進めることで内需主導型の経済の復活を進めることは出来ます。
改善は力が残っているうちにするべきで、今回の新型コロナウィルスによる経済危機を、現在の歪んだ経済を軌道修正するチャンスとして捉えていきたいですね。
欧米でも、グローバリズムの進展による自国の疲弊に焦点が当てられ、再度、ナショナリズムへ舵を切る形となっています。
日本に生きる国民として、未来の子供達のため、声を上げていきたいですね。