はじめに
FXを始める前に、テクニカル分析の勉強をする人は多いはずです。
まずはローソク足の週足・日足・時間足の区別、始値・終値・高値・安値の表し方、下ヒゲ・上ヒゲなど相場の転換点におけるローソク足の勉強をし、その後、移動平均線の勉強を始めます。
「移動平均線が右上がりの場合、移動平均線より上にチャートがある間はロングを入れる」、「移動平均線が右下がりの場合、移動平均線より下にチャートがある間はショートを入れる」、「ゴールデンクロス・デッドクロス」、「パーフェクトオーダー」など、これだけ勉強すれば、なんだか勝てそうな気がしますね。
しかし、実際の取引では移動平均線を利用したFX取引では勝てないことが多いと私は考えています。
実際の相場の数字を用いて理由を説明します。
1.ゴールデンクロス・デッドクロスでは勝てるのか?
2016年3月31日~2021年3月30日の期間にて、ドル円の5日移動平均線、20日移動平均線がゴールデンクロスした翌日の始値でロング及びショートの決済、デッドクロスした翌日の始値でショート及びロングの決済という形で計算しています。
上記計算によるとゴールデンクロスでは2016年・2019年・2020年と負け越し、デッドクロスでは2016年・2020年負け越しとなり、トータルではゴールデンクロス-1,372pips、デッドクロスでは-632pips負け越しており、FXの取引で使用するに値しないことが分かりますね。
このゴールデンクロス・デッドクロスで怖いのは、年間トータルで勝てる年があることです、短い期間しかバックテストをしていないと、この罠にはまってしまうので、他の通貨・移動平均線の期間などでバックテストする場合も最低でも5年間程度の期間は確認した方がいいですね。
2.パーフェクトオーダーで勝てるのか?
2016年3月31日~2021年3月30日の期間にて、ドル円の5日移動平均線、20日移動平均線、120日移動平均線によるパーフェクトオーダーが発生した翌日の始値でロングもしくはショート、パーフェクトオーダーが収束した翌日の始値で決裁という形で計算しています。
パーフェクトオーダーに関してはショートの2018年の442pipsを除いて全ての年で大きくマイナスとなっており、5年間合計で1,000pips以上のマイナスとなっており、全く使用できるレベルではないですね。
3.移動平均線より上ではロング、下ではショートで勝てるのか?
2016年3月31日~2021年3月30日の期間にて、ドル円の200日移動平均線を終値ベースで更新した場合、翌日の始値でロングもしくはショートの決済、終値ベースで下回った場合、翌日の始値でショートもしくはロングの決済という形で計算しています。
5年間ベースで考えるとロングで1,437pips、ショートで1,123pipsで合計2,560pipsある為、収益を確保できる可能性はありますね。
注意点としては、移動平均線より上か下かで取引する場合ですが、数カ月単位のロングスパンでの取引となるので、取引通貨のスワップポイントの確認は必須ですね。
マイナススワップで利益が全て飛ぶ可能性がある為、注意が必要ですね。
また、5年間でロングで29回、ショートで29回しかトレードポイントがないので、トレードポイントがくるまでのんびりと待つか、他の通貨も確認して200日移動平均線を上下するタイミングを探すしかないですね。
他の通貨で検証する前に、最低でも5年ぐらいはバックテストした方がいいですよ。
結論
1.「ゴールデンクロス・デッドクロス」2.「パーフェクトオーダー」に関しては、5年間のバックテストを見る限り、実用レベルではなくFX取引に使用することは出来ないという結論となりました。
しかし、3.「移動平均線より上ではロング、下ではショート」では持ち続ける握力が必要ですが、5年間で2,500pipsと充分に実用に耐えるレベルであることが分かりました。
ここから分かることは移動平均線は現在、上昇傾向なのか、下降傾向なのかという方向性を見ることに関しては長けていますが、エントリーもしくは決済タイミングとして使うには不安定であると言えますね。
数ヶ月に及ぶロングスパンでの取引であれば別ですが、デイトレなどをするのであれば移動平均線は消してしまい、ライントレードなどに取引手法を変えていった方がいいと思いますよ。