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台湾総選挙 親日派勝利

はじめに

相場は今日休みなので、気になったニュースに関して書きます。

11日、台湾で行われた総統選挙で、現職の与党・民進党蔡英文総統が、800万を超える過去最多得票を獲得し、再選されました。

2位の韓氏とは200万以上の得票差での歴史的大勝利を収め、同時に与党民進党も議会での過半数を獲得し第一党となりました。

中国と台湾の関係

中国と台湾の関係は複雑で、元々、第二次世界大戦では、日本の領土であった台湾も戦後独立し、蒋介石率いる中華民国に接収される形で中国の一部となりました。

しかし、程なくして中国大陸での中華民国政府と中国共産党との内戦が始まり、内戦に破れた中華民国政府が台湾に移る形で、1つであったはずの中国が中国本土と台湾で、中華人民共和国中華民国に別れる形となりました。

1つの中国であったことを根拠にして、中国共産党は「1つの中国」を原則として、台湾を国としては認めず、中国の一地方として一国二制度を迫る政策を継続しています。

「1つの中国」という政策をとる中国政府に遠慮する形で、世界のほとんどの国で台湾を国と認めることは出来ず、日本政府も台湾を国とは認めず国交がない形が続いています。

総統選挙の争点

今回の総統選挙の争点は、中国との関係に重きが置かれていたようです。

台湾では第二次世界大戦後の中国への接収から中国大陸から台湾へ移住した人民も多く、「1つの中国」の原則を持って「一国二制度」を目指す動きがあります。

しかし、蔡英文総統は「1つの中国」の原則を受け入れず、台湾を国として独立させることを目指しています。

対立候補の韓氏は「1つの中国」の原則を受け入れて、台中関係を改善して中国への依存が強い台湾経済の回復を目指していたようです。

選挙の勝因

元々、今回の選挙は現職に不利な選挙だったはずですが、既に「一国二制度」が施行されている香港で起こっている抗議活動の激化に対する中国政府の対応も、蔡英文総統に対する追い風となったようですね。

香港は中国返還後50年は「一国二制度」として自治を認める約束でしたが、半分も経っていない22年で逃亡犯条例の改正など、徐々に香港の自治権を奪いにかかる姿を見せてしまい、中国政府が約束を守らないというイメージを余計に植えつけたことも大きいようです。

また、米中貿易紛争による中国企業に対する関税も今回の選挙の後押しをしました。

台湾企業は中国への依存度が高く、台湾人民の感情に関係なく、台湾と中国の経済の結びつきが強いため台湾が中国から離れるのは難しいと言われていましたが、今回の米中貿易紛争により、中国を離れる企業が続出し経済的にも中国との距離が出来た事も今回の選挙結果の追い風となったようです。

今後の台湾を取り巻く環境

台湾の位置は中国が太平洋に出る時の前線基地になり得る場所であり、拡大政策を続け、海軍を充実させている中国としては是非、接収したい地域といえます。

しかし、今回の総統選挙の結果を受けて米政府のポンペオ長官は民主主義の勝利と発言しており、以前にはアメリカから大量の戦車を購入するなどアメリカと台湾の結びつきが強くなっています。

アメリカの「インド太平洋戦略報告書」で、台湾を国家として認める記述もあり、「1つの中国」を否定する蔡英文総統が勝ったことで、今後の米中第2合意が、更にもつれる可能性があり、台湾選挙に対する中国政府の動向には注意が必要かと考えています。

米中問題に発展すれば、リスクオフ相場に発展して、円高リスクになる可能性があります。